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三面鏡の少女 31 「ねえ、知っている?」 あいつは親しげにそう話し掛けてきた あいつは一体誰だったのか 友達だと話を聞いていた時は思っていた だけど私はあいつを知らない 誰だかわからない友達 「『八尺様』っていうお話なんだけど」 あいつはどんな顔をしていたっけ あいつはどんな声をしていたっけ あいつの名前はなんだっけ あいつの席はどこだっけ 「『八尺様』に魅入られた人はね、取り殺されてしまうの」 クラスのどこにもあいつはいない 携帯を確認してもあいつの名前も番号もアドレスも出てこない 「あなたは『八尺様』に出会わないように気をつけてね」 この話は何時聞いたのだろうか 『八尺様』の話がこの身に降りかかってきたのは何時からだっただろうか 神社で買ってきてもらった御札とお守りで 夜は部屋に篭る事で逃げ切ってきた 受験も上手くいってこの町から離れる事も出来る お守りだってずっと身に付けて 『八尺様』は追いかけてくるけど この町から出てしまえば逃げ切れるかもしれない お守りをしっかりと握って目を合わせないように下を―― 「ねえ」 その声は確かにあいつの声だった 思わず顔を上げてそちらを見ると 確かにあいつはそこにいた 帽子の女の向こうに 『八尺様』の向こうに その顔も その声も 知っているはずなのにわからなくて ただ車の窓にべたりと張り付いて視界を遮った『八尺様』の手が ガラスをすり抜けて私に 「帽子の女が」 運転してる父に助けを求めようと伸ばした手から力が抜ける 握り締めていたお守りが足元に落ちて 黒ずみぐずぐずと腐り落ちて塵も残さず消え果て ――― 「ねえ、知ってる?」 その友達は親しげに話し掛けてくる 「『くねくね』っていうお話なんだけど」 楽しそうに 楽しそうに 本当に楽しそうに話すその友達に導かれ 気が付いた時には『それ』を目にしていた 最初は『それ』が何なのか判らなかった だけどそれを友達は懇切丁寧に説明してくれて 私はそれを理解してしまって ――― 「見つけたぞ」 黒いスーツにサングラスの女が語りかける 振り向いたそれは、親しい友達の一人 そんな友人などいないはずなのにそう認識してしまう 顔も名前も姿も性別も何もかもがわからない存在だが、ただ『友達』として強烈に存在する者に 「『友達』の一人だな? 既に二人、女子中学生を殺したそうだな。お前に狙われていたもう一人はギリギリで保護する事ができたが」 その言葉に『友達』はくすくすと笑う 「私は一人だけ。私はたくさんいる。私は何処にでもいる。私は何処にもいない」 黒服の視界から『友達』が消え 「ねえ、知ってる?」 耳元で囁かれる『友達』の声 即座に身を翻し声のした方に銃を向けるが、そこには誰もいない 「『足売りばあさん』ってお話なんだけど」 「っ!?」 またすぐ耳元で聞こえる『友達』の声 それとほぼ同時に、黒服の右足に老婆が絡みつく 「足いらんかえ?」 いると答えれば余計な足を付けられ、いらないと答えれば足をもぎ取られる 黒服は返答をせずに老婆に銃口を向けて躊躇無く引き金を 「ねえ、知ってる?」 楽しそうに とても楽しそうに 「『足取り美奈子』ってお話なんだけど」 その言葉と同時に、今度は左足に女が絡みつく 「足なんていらないでしょう?」 「ぐっ、う!?」 それぞれが足をもぎ取ろうとその手に力を込められる ズボンが引き裂かれ太股に指が食い込み血が噴き出す みちみちと嫌な音を立てて引き裂かれる太股の肉 「離れ、ろっ!」 痛みを堪え『足売りばあさん』に数発の銃弾を叩き込む 老婆の拘束が僅かに緩み、振り解こうとした瞬間 「ねえ、知ってる?」 楽しそうに とても楽しそうに 語りかけた瞬間に、黒服の心に湧き出た恐怖を味わうように 「『ルベルグンジ』ってお話なんだけど」 「がぁっ!?」 黒服の両手に、杭で打ち抜かれたような穴が開く 痛み以上に指を動かす事もまともに出来ず、拳銃がアスファルトの上にがしゃりと落ちた 一度離れかけた老婆もまた、血塗れ穴だらけのままでその手に力を込めてくる 「く、そ……駄目……か……」 ごきりと関節が断末魔の悲鳴を上げる 激痛が脳髄を駆け巡り、絶望が意識を支配し ぶちりと切断された女の足が宙を舞いどちゃりと地面に叩き付けられた 「ひぃぅあがぁっ!!!!!!」 悲鳴を上げてのた打ち回る『足取り美奈子』 「おう、危なかったな」 「……何でお前がここにいる」 「サボりでコンビニ行く途中にお前さんがやられてるのが見えてな」 風を切って舞い絡みついた髪の毛に引き裂かれ、血煙を撒き散らし塵となり消える二つの都市伝説 悠長な足取りで現れた黒服Hは周囲をぐるりと見回す 「折角の生足が千切れる寸前の血塗れってのが萎えるな」 暢気な調子の黒服Hを、注意を促すように睨みつける 「気をつけろ……私が追っていたのは『友達』だ」 「アレか、『この話は友達から聞いたんだけど』……で始まる常套句。何処まで遡っても辿り着けない最初の『友達』」 「ああ……都市伝説に関わる事件が格段に増えた原因の一つだ。奴の『話』は聞いた者と都市伝説を引き合わせる」 「……ていうか、もう居なくね?」 「奴はこう言っていた。何処にでもいるし、何処にもいないと。いきなり姿を消したかと思えば私の背後から声だけを聞かせたりしてきた」 「なるほどな」 にやりと笑う黒服H 「ねえ、知ってる?」 その耳元で囁かれる『友達』の声 それに呼応して黒服Hは一欠片の迷いも無く叫んだ 「知るか! 俺に友達なんざ一人もいねぇ!」 ……………… 夜闇の静けさに何処か遠くから車の走る音だけが響く 「あいつが友達という存在の隙間に紛れ込んで接触してくるなら、それを全否定してやりゃ問題無いわけだ。まあ追っ払う程度だが今は仕方ないだろ」 「……その、何だ。何と言って良いのかわからんが……本当にぼっちなのか?」 「遠慮してるようでなかなか容赦無いなお前さん」 黒服Hはにやりと笑う 「今んとこ利用するかされるか以上の間柄は無いな、俺には」 「難儀な性分だな」 「黒服稼業なんかやってたら、その方が気楽だぜ? さて、お前さん歩けるか」 「多少時間は掛かるがなんとかなる。千切れてさえいなければ『唾でもつけておけば治る』からな」 そう言って黒服が、まだ血が流れる穴の開いた手のひらに舌先を這わせると、ゆっくりとだが確実に傷が塞がり始める 「お前さんの能力はそんなんだったのか。初めて知ったわ」 「回復役にされてはたまらんし、実戦で使えるほど充分な回復力があるわけじゃないからな」 「ふむ……足はどうするんだ、そっちも重症だろう?」 「別に指で唾をつけれない事もない。多少時間は掛かるだろうがな」 「お前さんの唾液ならば間接的に付けても問題ないわけだな?」 「時間を置いては効果が無いが、とりあえずはそういう事だ……って、何をする気だ? こら、ちょ、怪我人相手に……」 ざわざわと伸びる髪を前にして、黒服の顔にありありと不安の色が浮かび 「大丈夫だ、痛いのは最初だけだから」 「お前の言い回しが不安を煽るんだ! というか本当に何を、こら、ん、ふぐっ!?」 「念のため言っておくが、伸ばした髪に唾液を含ませて患部に塗ってるだけだからな?」 「ぷは……だ、誰に説明してる!? というか違うところを触るなっ!」 「んん~? 間違ったかな?」 ――― 「ねえ知ってる?」 楽しそうに 楽しそうに 『友達』の話は紡がれる 誰かが伝えた何かをこの世に具現化するために この町を都市伝説で溢れさせるために 「『都市伝説と戦う為に都市伝説と契約した能力者達……』っていうお話なんだけど」 ※ 黒服(女) ナンバリングされてない使い捨て雑魚黒服の一人 多分どっかであっさり死んでる 『唾でも付けておけば治る』という都市伝説能力を持つ 応用として『こめかみに唾をつければ足の痺れが取れる』とか『眉に唾を付ければ狸や狐に化かされない』といった事も可能 女にしたのは男の唾液なんかで治療とか神が赦しても自分が赦したくなかったから 『友達』 友達から聞いた話という始まり文句の『友達』 誰からも友達と認識され、何処にでもいて何処にもいない存在 語る事で都市伝説を呼び寄せ、語りかけた対象に引き合わせる能力を持つ 都市伝説の名前を囁くだけで呼び寄せたり、経過や返答などをすっ飛ばして結果だけを与える事も出来る悪役チート 気まぐれであちこちを動き回っているので意図的に誰かに接触したりする事は無い 友達がいない人の周り、友達がいるには余りにも不自然な場所には現れる事は出来ないため 友達がいない人間がその事を宣言する 友達が存在するはずのない空間(密室、上空や密林や深海、結界の中、異空間など)に逃げ込む といった方法で一時的に接触を絶つ事が可能 前ページ次ページ連載 - 三面鏡の少女
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翼がマドカと和解し、マドカも己の両親と和解…した直後に、マドカが両親と壮絶な親子喧嘩を始めたのはさておき とにかく、二世代親子の和解が成立した、その後の事… 「…そうか。「日焼けマシンで人間ステーキ」の青年は、朝比奈 秀雄とも和解できたのか」 「はい……まだ、完全に、ではないかもしれませんが」 それでも…関係は、改善されていっている その事実に、黒服はほっとしていた これからは、親子が憎しみあうような事がない事を、祈るばかりである 日景家本家からの、帰り道 舞が望と詩織と共に三人がかりで翼をからかって遊んでいるらしい様子を前方に見ながら、黒服はTさんに、今回の騒動の顛末などについて話していた ……なお、翼の隣には、獄門寺と花子さんもいるのだが、花子さんはリカちゃんと話していて翼が女三人に玩具にされている様子に気付いていないし、獄門寺は何を考えているのか、とりあえず、翼を助ける気はないようで …頃合を見計らって、翼に手を差し伸べてやらなければ 黒服は、こっそりと考える 「確か、朝比奈 秀雄の部下には、ゴースト&ダークネスの、ダークネスがいたそうだが…それは、どうなっただろうか?」 「ダークネス、ですか…秀雄さんとの戦いの時、あの場にいた青年を覚えていますか?」 「あぁ…随分と小さな悪魔の囁きを連れていた?」 「はい。どうやら、ダークネスは彼のところにいるようですね…片割れであるゴーストと、一緒に」 どう言う事だろうか?と首を傾げたTさん 黒服としても、その状況を知った時は、驚いた 「どうやら、ゴーストもダークネスも、子供のライオンの姿をとっているようなんです……当人達は、都市伝説として人を襲う事を、拒絶しているらしいです」 …その代わり、本来人食いである都市伝説 人食いをしない代わりに、食欲がすざましい事になっているそうだが… 「…とにかく、ゴーストもダークネスも、人を襲う事はない、と言う事か」 「そのようです」 もし、元の姿に戻って暴れられたら、大惨事になりかねないが …黒服としては、人を襲う事を拒絶したと言う、ゴーストとダークネスの考えを、信じてみたかった 人を襲う都市伝説として生まれたからと言って、必ずしも、人を襲い続ける必要などない ……都市伝説とて、生き方を変える事ができるのだ 真っ赤なマントを羽織った友人の姿を思い浮かべながら、黒服はそう考えるのだ 「藤崎 沙織や、鳥井 静香は?」 「鳥井さんは……少々、負傷してはいましたが、命に別状はありませんでしたし。今まで通り、秀雄さんの秘書として働くようですね」 罪の償い それもかねてのことだ ……マドカとは、微妙に火花を散らしたとか散らさなかったとか、という話も聞いているのだが 恋愛面には疎い黒服、その理由はよくわからない 「藤崎さんは、私の上司が身柄を保護しました。「タコ妊娠」との契約を解除させて…都市伝説絡みの記憶も、消去させたそうです」 「それは……彼女は、この騒動についての記憶を失った、ということか?」 はい、と頷く黒服 彼女は、自分が犯してしまった悪事すらも その記憶から、消し去られた 無意識下で、ある程度の記憶が残っている可能性はある だが、表面上、記憶は抹消されて……よほどのことがない限り、思い出すことはないだろう 「藤崎さんは元々、都市伝説に対しては恐怖心を抱いていた方ですから……悪魔の囁きに憑かれさえしなければ、都市伝説との契約など、勘が得なかったでしょうし、それに…」 「……よりによって、「タコ妊娠」だからな。正気に戻った時、それと契約してしまった事を認識すれば…心が、壊れかねない、か」 そう言う事です、と、黒服は少し悲しそうな表情浮かべた 事実、彼の上司が藤崎を保護した時、彼女は発狂寸前だったと言う 「タコ妊娠」と言う、女性にとっては嫌悪すべき都市伝説 少しでも遅ければ……もはや、精神的な死を迎えてしまっていたかもしれない 藤崎の無事を知って、翼もほっとしていた ただ、記憶が戻る事を恐れて、彼女と接触するつもりはないようだが 「ユニコーンの契約者であるヘンリー・ギボンヌだが。あの男も、まだ暫く学校町に滞在するらしいな」 「………はい、そうなんですよ」 …Tさんの、その言葉に 軽い、頭痛を覚える黒服 Tさんが、怪訝な表情を浮かべる 「…どうかしたのか?」 「…その、ヘンリーさん、なのですが……何せ、「教会」お抱えの存在ですからね。それも、かなり重宝されていて、「教会」の管理下から出ることを許されていなかった程です」 そんな存在が、学校町に滞在し続ける …その事実に、軽い頭痛を覚える 「もし、万が一、ヘンリーさんが事件に巻き込まれて、大怪我をしたり命を落とすような事があれば…」 「……なるほど、理解した」 苦笑してきたTさん つまりは、そう言う事なのだ ヘンリーに何かあれば、「教会」が学校町に手を出してくる口実を与えてしまいかねない 恐らく、ヘンリー本人には自覚はないだろう だが、彼は今現在、歩く国際問題と言ってもいい状態なのだ ヘタにその自覚を持たれるよりはマシだが、どちらにせよ頭と胃が痛い問題である 彼を擁護している「教会」メンバーが、「教会」内でも穏健的な考え方である事が、唯一の救いか 「あまり、無理はしないようにな」 「…はい」 気遣うようなTさんの言葉に、黒服は苦笑してみせる 一応、騒動終結後、しばらく休みを取るように上司には言われているが …それでも、あと2,3日もすれば、仕事に戻るつもりだ まだ、悪魔の囁き・コーク・ロアの騒動の事後処理は山のように残っているし それに…… 「…黒服さん?まだ、気になる事が、あるのか?」 「……えぇ」 …今回の、騒動の発端 朝比奈 秀雄 彼の運命を捻じ曲げ、悪魔の囁きと契約するきっかけを与えてしまった、その出来事 「門条 晴海という女性についてです」 「…朝比奈 秀雄が口走っていた名前か」 そうです、と黒服はゆっくりと頷く 「あの時、あなたは、朝比奈 秀雄の運命を捻じ曲げたのは「組織」だと、そう言っていたな」 「はい…門条 晴海という女性を、殺してしまったのは…「組織」、ですから」 黒服の、その言葉に Tさんが、僅かに眉をひそめる 「…都市伝説関係者だったのか?」 「いえ、違います……どうやら、当時のHNoに、実験体として拉致されていたようなのです」 「…「組織」の闇の部分、か」 「はい……彼女が、どのような実験に巻き込まれてしまったのか。そこまでは、私の権限では調べられませんでしたが…非人道的な実験であった事は、確かなようです」 HNoの実験 それは、大半が非人道的なものであったと言う かつては、都市伝説に飲まれた人間を元に戻す研究などもしていたらしいのだが……それは、いつからか暴走を初め、誰にも止められなくなってしまっていた 門条 晴海という女性が巻き込まれた実験もまた、その非人道的な実験の一つであったと思われる 「彼女は実験体として5年間、「組織」の研究施設で囚われ続けた後、そこを脱走して………機密保持の名目で、殺されています」 「…「組織」の研究施設に囚われていた以上、嫌でも「組織」の情報を持っているから、か」 記憶消去、と言う手段すらとられず 抹殺する、と言う選択肢をとられてしまったのだ それは、脱走した彼女の対処を任せられたのが強硬派であったから、と言うだけでないのだろう 記憶消去では、何かの機会に記憶が戻る可能性がある …それを、恐れられたのだ それほどまでに、重要な秘密を知ってしまったという門条 晴海 一体、囚われていた五年間で何があったのか…調べたくても、黒服の権限では調べきれない 恐らく、当時の資料も大半が破棄されてしまっているだろう 「門条 晴海さんの一件は、今回の秀雄さんの件にも絡んできますし、それに…」 「それに?」 「…「組織」内で、門条 晴海さんと、同じ苗字を持つ人が、いるんです」 門条、という苗字は、決して多い苗字ではない どちらかと言うと、珍しい苗字だ 「それは、つまり…門条 晴海の、関係者?」 「わかりません、ただ、無関係ではないような気がして…」 もし、関係者であるならば 彼は、門条 晴海と言う女性を知っているのだろうか? …彼女が 「組織」に殺されてしまった事を…知っているのだろうか? 「……何か…そこから、悪い事が起きなければ良いのですが…」 「考えすぎだ…と、言いたい所ではあるが。確かに、珍しい苗字であるだけに、同じ苗字だと言うのは気になるな…どう言う人物なんだ?」 「門条 天地。モンスの天使と契約している青年です。元は過激派に所属していましたが、昨年、担当の黒服が変わって、穏健派に転向した事になってはいますね」 モンスの天使 その単語に、Tさんが反応を見せる 「…モンスの天使、というと。まさかだが」 「はい。昨年のマッドガッサー騒動の際、Tさん達が巻き込まれた無差別攻撃。それを行った人物です」 モンスの天使の契約者なんて、「組織」では一人しかいないし …それも、その召還されるモンスの天使が、弓矢ではなく、重火器を使い、しかも、可愛らしい少女の姿をとっているのだ そんなモンスの天使と契約している人間など、世界中どこを探しても、一人しかいない その天地の、以前の担当の黒服が、何者かに「殺害」され、それがキッカケで担当の黒服が穏健派の黒服に変わった、というのも、どこか引っかかる 誰かが、天地を過激派から、無理矢理引き剥がしたような そんな印象を受けるのだ 「本当に……何も、悪い事が起きなければいいのですが」 そう呟き、黒服はため息をついて …前方で遊ばれている翼を、いい加減救助すべき頃合になったことに気付いて 小さく苦笑しながら、望達に追いつくべく、歩調を速めるのだった -------いつか来るであろう脅威に、彼らが巻き込まれるかどうか それはまだ、誰にもわからない to be … ? 前ページ次ページ連載 - とある組織の構成員の憂鬱
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※朱い月の輪舞は別のページにあります。 Venus Naver vid=9D78A21818968358EEF820B7933A170CBA14 Daum http //flvs.daum.net/flvPlayer.swf?vid=nGN-wV__Rh8$ 第1弾です。苦肉の策で外部プレイヤーのURLを張りましたw DESTINATION Daum http //tvpot.daum.net/clip/ClipView.do?clipid=3416888 しょっぱなからナンバリングが分からないのは仕様です(ぉ 第2弾らしいですが。 R-type 「瞳の色」 Daum http //tvpot.daum.net/clip/ClipView.do?clipid=3417020 第4弾らしいです。PS2版やver.B2体験版も多少混ざってます。 黒猫堂MOVIE5 imageプラグインエラー ご指定のURLはサポートしていません。png, jpg, gif などの画像URLを指定してください。 Mgoon http //video.mgoon.com/2194414 第6弾だけどファイル名はMOVIE5でしたw 黒猫堂MOVIE6 imageプラグインエラー ご指定のURLはサポートしていません。png, jpg, gif などの画像URLを指定してください。 nico http //www.nicovideo.jp/watch/sm380895 Naver http //video.naver.com/2009022813104512735 6で月光蝶というと何かを思い出さなくもないです(ぇ 黒猫堂MOVIE7 imageプラグインエラー ご指定のURLはサポートしていません。png, jpg, gif などの画像URLを指定してください。 nico http //www.nicovideo.jp/watch/sm718831 Naver http //video.naver.com/2008081613532264910 (2008111309095923382) PC版ver.B2が出たときに速攻で製作されたムビですw 黒猫堂MOVIE8 imageプラグインエラー ご指定のURLはサポートしていません。png, jpg, gif などの画像URLを指定してください。 nico http //www.nicovideo.jp/watch/sm1023529 Daum http //tvpot.daum.net/clip/ClipView.do?clipid=4403057 黒猫堂外伝 Offnung nico http //www.nicovideo.jp/watch/sm1202531 Naver http //video.naver.com/2007110317075927922 Parasite World imageプラグインエラー ご指定のURLはサポートしていません。png, jpg, gif などの画像URLを指定してください。 YouTube http //www.youtube.com/watch?v=U3t3ddAwPf4 PandoraTV http //www.pandora.tv/my.idgamozi/4847921 ver.B2体験版の白レンムビでした。元ファイルの名前からすると、たぶん第3弾。 ゲストコンボムービー1.1 Daum http //flvs.daum.net/flvPlayer.swf?vid=okNUu0gMMfo$ ゲストコンボムービー1.2 Daum http //flvs.daum.net/flvPlayer.swf?vid=KddcJLSpCv4$ ゲストコンボムービー1.3 Daum http //flvs.daum.net/flvPlayer.swf?vid=sGJozS5-zkg$ ゲストコンボムービーLT Daum http //flvs.daum.net/flvPlayer.swf?vid=k_GaC0bNUCo$
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【平唯の人間観察 第四話「呼」】 ――――――――――ねぇ 子供の頃、要らなくなった人形とか捨てたこと無いかな? 捨てていなくても良いんだ。 子供の頃は一緒に眠って、一緒に笑って、一緒に遊んでいた人形。 いつの間にか忘れちゃって何処に行ったかも解らなくなっていないかな? 私はある。 金色の髪に青い瞳。 メリーさんって名前を付けて可愛がっていた。 携帯電話は鳴り止まない。 何処に行っていても私を追いかける。 私を愛しているからどこまでも彼女は付いてきてくれる。 「――――――私、メリーさん――――」 ほら、電話ごしに声が聞こえる。 「今、貴方の家の前に居るの。」 「冗談みたいでしょう?」 「ええ。」 こんにちわ、皆様。 私の名前は平唯。 ※ただしイケメンに(ryと呼ばれる都市伝説と契約した人間だ。 今は友人とお茶していた。 「それは怪談なの?」 「いいえ、実話よ。家の中に入れないの、って言って最後に帰るのがいつものパターンなのよ。」 私にこんな信じられない話をしている目の前の女性は久瀬由美。 至ってまともな電波系一般人。 家は大変なお嬢様な為か無意識に上品な気配を漂わせている。 気品って言うのかしらね、こういうの。 「本当なの?」 「本当よぉ。なんだったら今日、家に確かめに来る?毎晩電話は来るから。」 「別にお泊まりなら良いけど……。」 実はあまり良くない。 彼女こそ私を男装に目覚めさせた張本人なのだ。 中学生の時に学園祭で私を女装させて、 その年の学園祭の出し物のランキングで一位を取った彼女は今でも隙あらば私を男装させようとする。 「あら、嬉しい。じゃあ家の皆様に用意させるわね。」 そう言うとそそくさと携帯電話を出して電話しようとする オーモーイーガーシュンヲーカケーヌーケテー 「あらあら、着信。」 丁度良く電話がかかってきたらしい。 なんだろうと思っていると彼女の顔がどんどん青くなっていく。 真っ青な顔のままこちらをみつめて携帯電話を私に渡す。 「私、メリーさん。今、貴方のお茶している喫茶店の前に居るの。」 コトン 足下で何かが転がる音がする。 「私、メリーさん。今、貴方のお茶している席の真下にいるの。」 「私、メ…………。」 プツッ 素早く電話を切った。 新手の都市伝説か……? 由美の手を引くと振り返らずにすぐに店を出る。 彼女の家までは人気のないトンネルを通ると近いのでその方向へ真っ直ぐ向かう。 「その電話ね、電話からかけられていないのよ。 何度電話を変えても携帯電話を持っていなくても どこからともなく私に告げてくるの。 嘘だと……思う?」 「何時からなの?」 「私のこの前の誕生日からだけど……。」 「解った、ちょっと待ってて。」 歩きながら電話をかける。 勿論、黒服Fの所にだ。 プルルルルルルル プルルルルルルルルルルル 「はい、こちらFだよ、どうしたの平さん。」 プツッ 「私、メリーさん。いま、久瀬さんはどこなの? 貴方が私の大事な久瀬さんを隠したの? 返してよ、返し………」 プツッ 唯一の専門家と連絡がつかない。 不味い。 そうしている間にも私達はトンネルに辿り着いていた。 一旦、由美の家に帰ればメリーさんは入れない。 『コマッテルミタイジャネーカ、契約者。多分そいつはメリーサンダゼェ?』 急に頭の中に声が響いてきた。 ケメの声だ。 『当たり前じゃない!どうにかしてよ!』 『おやすいご用ダ!※ただしイケメンに(ryのノウリョクの正しい使い方をオシエテヤルヨー』 『どうすれば良いの?』 『マズハ………。』 『うっそ……、それはずるくない?』 『イケメンだからユルサレルンだよぉ!!』 私はケメから聞いた嘘みたいな能力の使い方を試してみることにした。 「ねぇ、由美。男装セット持っている?」 「え?貴方に使う為に持っているけど……。」 すばやくそれを奪い取るとトンネルの中で男装を始める。 ぴしっ!バシッ!ピキーン! 「ちゃんとできてるかい?」 「完璧…………///」 鏡がないので由美に尋ねると何故か顔を赤くしている。 「ねぇ唯ちゃん、押し倒して良い?」 「え、ちょ、ちょっと待って?俺、女だから?ね?」 この娘は友人に向けて何を言い出しているのだろうか? そうだ、中学生の時もこうやって暴走していて……。 彼女は男装した女性と百合百合するのが好きな方なのだ。 「ああ、もう駄目!貴方の子供ならァ!!!愛の力でえええええええええ!!」 「いいいやあぁあぁぁああああああ!!」 やばい、奪われる。 そう思った瞬間だった。 プルルルルルルルルル 二人の動きが止まる。 また電話だ。 「ねぇ、由美。これから見ることは秘密だよ?」 「え……?」 電話を取る。 「私メリーさん。今、トンネルの前に居るの。」 「へぇ……。」 「私、メリーさん。今、貴方のずっと後ろにいるの。」 「早く来なよ。」 相手を誘う。 「私、メリーさん。今、貴方の後ろに居るの。久瀬さんを返して頂戴?」 背中を氷が這うような感触。 来た。 「※ただしイケメンに限る!」 都市伝説発動、イケメンならば何でも許される! 私の“目の前”に現れたのは人形ではなく、沢山の人間の顔を一つに合わせたような化け物だった。 ガシッ! そうだ、イケメンならば…… 「その恨みも、そして貴方の能力を無視することも許せ!」 ガッシリとつかみ取る。 ※ただしイケメンに限るのもう一つの能力。 それが都市伝説の能力に対する無効化能力。 発動すれば私の半径2mでは都市伝説の能力を無視しても許される。 手に残るのは柔らかい感触。 フワフワとした物が手の中にある。 綿の入った……、ぬいぐるみ? 「「え?」」 メリーさんと私はほぼ同時に素っ頓狂な声をあげた。 「なんで私をつかまえられるの?」 「もしかして只のぬいぐるみ?」 「あ、メリー!!!」 由美の声がトンネルに響く。 私が掴んでいるのは只のぬいぐるみだ。 「くーちゃん……。」 うわっ、喋った。 只のぬいぐるみじゃない。 「えっとね、唯ちゃん。そのぬいぐるみは私の小さい頃に持っていたぬいぐるみで……。 名前はメリー。 本当はもう捨てた筈だったの。」 目の前で起きている妙な状況に怖じ気づくこともなく彼女は私に説明をする。 メリーさんの方向に向き直ると彼女は問いかけた。 「ねぇ、貴方は本当にメリーなの?」 「そうよ、私はメリー。 くーちゃんにまた会いたくって……。」 「でも、それなら何でまたわざわざこんな由美が怖がる方法で現れたの? 嫌われちゃうじゃない。」 「う………。」 「それしかなかったんだよ。」 急に背後から声が響いた。 「その人形だって元を正せば只の人形だ。 自分を捨てた主の所まで戻る力なんて有るわけがない。 だから『なった』。そういうものに。 解るかな、二年生の……平さんと久瀬さん。」 後ろを振り返ると見上げるような長身の男性が経っていた。 整った顔立ち、私達と同じ学校の制服、胸に輝くバッジに書かれているのは……。 “生徒会会計”の文字。 「こんにちわ、二人とも。 俺は生徒会会計の田居中光だ。 ちょっとした都市伝説マニア。」 謎の闖入者に私はメリーさんを持ったまま身構える。 「……俺は敵じゃないぜ?あとそのメリーさん、離してやれよ。 そいつの目的はもう達成されている。 そいつはそこの久瀬さんに会いたがっていたからなあ……。」 「まだ信用でき無いじゃない。 メリーさんってそもそも危ない都市伝説だし……。」 「メリーさんはもう正気に戻っている。 あとはそこの久瀬さんに判断を任せるべきだと思うぜ?」 「え?私は………、」 由美はゆっくりと口を開く。 「私は一度この子を捨てました。 でも彼女は帰ってきて…… だから、もうしばらくは家に居させてあげたいかなあ?って思うんです。 狂ってしまうほどで、迷惑を掛けながらだったけど、私のことを思ってくれたから。 つまりその………、うーんと……。」 ………そうだな、そういうことなら仕方がないか。 ポン、と彼女にメリーさんを手渡して田井中の方向に向き直る。 「そうだね、それでメリーさんも幸せだ。 ところで契約はしないのかい?」 いきなり由美に対して問いかける田井中。 「え?」 「えっとね、都市伝説は人間と契約ができて、 契約すると人間が都市伝説の能力を使えたり、都市伝説がパワーアップするの。」 「へぇ……。 なら私は別に良いわ?」 「ほう、なんでだい?」 「え、なんで?」 「もう、この子には普通の人形として過ごして欲しいもの。 別にそう言うのも悪くないでしょう?」 久瀬由美は優しい笑顔でそう言った。 「ハッ……、敵わないね。 優しい人だよ、あんたは。 契約するっていうならまた別だったんだがそれじゃあ仕方ない。」 田井中はため息をつく。 「一体貴方は何の為に出てきたの?」 急な登場で驚いていたがこれだけは聞かねばなるまい。 「俺? いやぁ、会長のお使いでね。 平唯、あんたにメッセージだ。 【あまり組織と関わるな】 だってよ、俺としてはあいつら嫌いじゃないってか良い奴だと思うんだけどな。 あと今のあんたの能力?あれも黒服には絶対見せない方が良いぜ。 良いように使われるから。 そんじゃあ。」 田井中は面倒臭そうにあくびをしながらトンネルから出て行った。 それを確認すると私達、メリーさんと久世由美と私の三人は久瀬由美の家に向かったのであった。 【平唯の人間観察 第四話「呼」】
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ドクター86 流された水着は取り戻したのだが、メイの泳ぎは覚えたばかりの犬かきである 下流に向かううちは良かったのだが、水着を掴んだ状態では上手く泳げず、上流へ戻るには勢いが全く足りなかった やや騒動の中心から離れた場所でよじよじとプールサイドに這い上がり、プールサイドでは走らないという注意を律儀に守り水着を握り締めてぺたぺたと歩いていった そんな姿を狙撃銃のスコープ越しに遠方のマンションの屋上から眺める黒服女、アンネローゼ 「うーん、やっぱこの町の都市伝説密度は異常だわ。さっきの男って朝比奈秀雄よね……アレと既に知り合いなのかな? ゆーくん達だけならバレても逃げ切れるけど、あれだけ色々いたら無理だわ」 諦めたように構えを解き、銃を分解してケースに収めていくアンネローゼ 「それにしてもプールかー。いいなー、こっちはこんな暑いのに仕事で、しかも上手くいってないのに」 水着を脱がせて騒ぎを起こし、結果として都市伝説集団の密度を高めてしまった変態達を焼き払ってしまいたい衝動に駆られるが、それも結局自分の存在を悟られる結果になるだけなので自重する 「ま、この調子じゃ狙える状況じゃないわね。アイスでも買ってこよ」 ――― 「平気、もう大丈夫だから、やめっ、やめー」 「んー、やっぱり若いと肌の張りが違うわね。今のエルフリーデもしっとりもちもちしてて良いのだけれど」 プールサイドで沙々耶が胸を隠すために羽織ったバスタオルの下に両手を潜り込ませ、バスタオル越しにも判るほどに思い切り揉みしだくトライレス つい先程まで溺れた沙々耶のための心配蘇生手順に基づいた意識確認が、いきなりこれである 「先生、いい加減にしましょう。公共の場でやり過ぎです」 「あらエルフリーデ、遅かったわね? そういうあなたも、公共の場でなければやるんでしょう?」 「TPOぐらいは弁えます。というか溺れた相手へそういう事をしてどうするんですか」 「ちょっと水を飲んだだけなのは確認してるし、気付けみたいなものよ。何でも四角四面に捉えてると場の雰囲気が暗くなるわ」 笑顔のままでも手は止めないトライレス その視線がつぅっとスライドしていった先にいたのは、ぞんざいに水着を身に纏ったパスカルの姿 武術の達人ですらその初動を見逃したであろうトライレスの動きを、ずいと間に割り込むようにして封じたのはヘンリーだった 「あら、やるわね?」 「乙女は守護するものだからな」 「俺は乙女じゃねぇっつーの。それより、今ここで何が起きてる?」 「さあ……水中に、水着を剥ぎ取って流してしまう都市伝説がいるのは気付いてたけど」 「気付いてたなら注意しろよ!?」 ヘンリーの後ろからパスカルが思い切り怒鳴りつけるが、トライレスは悪びれた様子も無く微笑を浮かべる 「危険は無いと判断した以上、水着を剥いで回ってくれる都市伝説なんて素敵なものを退治したら勿体無いでしょう?」 「被害出てんだろうが!? 溺れたんだろ、この子が!」 パスカルに指をさされて、胸を揉まれ続けているせいか指摘のせいか、顔を真っ赤にして俯く沙々耶 「水着は流されたけど普通に泳げないだけよ、この子」 「水着が流されなきゃ派手に溺れたりはしなかったんじゃないのか?」 「かといって、警戒心丸出しで片付くまでは遊べない、なんてのも可哀想じゃない」 水中では既に一部の契約者や都市伝説と、黒幕らしい水霊の戦闘が始まっている 「戦うにしても相性が悪いわ。私が戦ったら水の中にいる子達がみぃんな死んじゃうし。かといって……液体状の軟体相手に対抗できる子、いるかしら?」 このメンバーの中でまともに戦えるのは有羽だけで、その能力は殴打が普通に通用する相手でなければ発揮できない 「あの戦闘バカ、肝心な時にいねぇんだから……」 非実体の神すら叩き斬る武人は、とっくの昔にこの場を離れている 頭を抱えるパスカルを尻目に、トライレスは視線をプールの外へと向ける 一見すれば空を見ているようにも見えるその視線の先は、遠くに見えるマンションの屋上 「色々戦闘がこなせる子、うちにも欲しいわねぇ」 やがて、デリアと沙々耶の水着を取り戻して戻ってきたメイだが 溺れた沙々耶が脱がした末に流されてしまったコンスタンツェの水着は未だ回収されておらず、プールのどこかを漂っているのであった 前ページ / 表紙へ戻る / 次ページ
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4コマ風劇場(補足や小ネタ)― ☆【ベッドの下の男】と別れた後☆ 通行人A「おい、マサヨシ君かい?こんな時間に何しているんだい?」 正義「あっ!」 大王「どうするんだ少年?都市伝説について言っても無駄だと思うぞ」 正義「・・・。」 正義「家に泥棒が入ってきて、追いかけててさっき捕まえて、それから説教していたんです。」 大王「(それで通る訳無いだろ・・・。)」 通行人A「ま、そうだろうと思ったけどね。もう遅いから早く帰りなさい。」 正義「はーい。」 通行人B「逃がしてたみたいだけど良かったのかい?」 正義「まだ物を盗んでもいなかったし、お父さん呼ぶ必要はないと思うよ。」 大王「・・・。」 ☆TV・都市伝説を追え!☆ “男「始まりました。『都市伝説を追え!』。今回は【恐怖の大王】についてです。」” “女「さっそく専門家の意見を聞いていきましょう。」” “アンチA「やはりあの話、嘘だったじゃないか!」” “アンチB「たかが人の戯言を予言と言っていいふらして!」” “信者A「だから私達人間はまだ気付いていないだけだと言っているでしょう!」” “信者B「いや、【恐怖の大王】自体はもう降りてきていて、今は世界征服に備えて仲間を集めているんだと」” “アンチ勢「「ふざけるなぁー!!」」” “―――ただいま、画面が込み合っております―――” 大王「・・・。(なにか・・・、申し訳ない。)」 ☆数年後?☆ (大王「全員俺の降らした武器を取れ!」) (手下達「「おぉー!!」」「「行くぞぉー!」」「「やってやるー!」」) (正義将軍「なに、仲間が1人やられただと!許せぬ。私も出陣するぞ!」) (正義将軍「全ては大王様のために!!」) (大王「よし、全員出撃!」) (手下達「「おぉぉー!!」」) 大王「―――となる予定だったんだがなぁ・・・。」 正義「大王ー、何してるの?」 ☆武器の練習☆ 大王「少年、1度打ち合ってみないか?」 正義「いいけど、危なくない?」 大王「安心しろ。竹刀を用意した。」 正義「これなら安心だね。じゃあ。」 正義「でりぁぁぁー!」ブンッ! 大王「ふん!」バシ! 正義「てえぇぇい!」ブン! 大王「何?!」バシィーン! 正義「わーい、大王に勝ったー!」 大王「そういえば、武器なんか、触った事も無かった・・・。」 ☆ベッドの下の☆ 正義「大王、おやすみー。」 大王「あぁ。」 正義「ん?また都市伝説?」 大王「またベッドの下のようだな。」 正義「あっ!あの時の【ベッドの下の男】!?」 下男「・・・。」 正義「え?『更生できたお礼に見張らせてほしい』?ボクは戦えるからいいよ。」 大王「というかお前、俺への信用は0なのか。」 ☆調べる者☆ ???「【口裂け女】・・・、ただの噂と思ってたが、本当だった。だが、誰かに倒された。いったい誰が?」 ???「まさかこの町に俺以外の契約者がいるのか?それもオレの力で調べる事はできるが・・・。」 ???「やめた。頭が痛い。今日はここまでにするか。それに戦ってたらいつか会えるかもしれないしな。」 ―――その時は、宜しくな。契約者さんよぉ――― ●では、第4話に続きます。 前ページ次ページ連載 - 舞い降りた大王
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「人間と都市伝説の間に子供ってできるのかな」 「知らないわよ」 気になって尋ねてみたら、冷たく返された。 彼女は僕と契約している都市伝説だ。 昔は優しかったんだけど、最近は顔を合わせるたびに罵倒される。 マゾちっくな趣味は無いから、正直、傷つく。 彼女が僕に冷たくなったのは、僕が彼女に好きだと言ってからだ。 告白して、フラれたわけだ。 「何?こっち見ないでくれる?」 「あ、ごめんね」 でも、僕は知っている。 彼女が僕をフッたのも、罵倒するのも、僕を大事に思ってくれているからだ。 僕と彼女が仲良くならないようにしているんだ。 「ねえ」 「何よ」 呼びかければ、無視せずに反応してくれる。 「好きだよ」 「………………バカじゃないの」 彼女は少しだけ顔を赤くして、一瞬嬉しそうにして、すぐに悲しそうな顔をする。 そして、最後に怒るんだ。 彼女の名前は「エイズ・メアリー」。 彼女自身が、彼女が僕を突き放す理由。 僕は構わないのに。
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● マンションの外に出ると、そこには浅井が居た。青年は彼を、そして彼の背後で女性に担ぎあげられている少女を見て目つきを険しいものにする。 「……随分と早く来たものだな」 「なんカ対都市伝説警備係みたいなノに見つかっちまったみテえでな」 いや参ッた参った。と聞く者に違和感を感じさせる口調で浅井は言う。担ぎあげられていた少女が、 「Tさん! おっちゃんがなんかおかしいんだ! ≪組織≫からきた連中と戦う時にいきなり苦しみ出したと思ったらその後いきなり黒服の腕とか食っちまった!」 と首を捻って顔を青年へと向けて言うのに、 「ああ、分かってる」 と頷き、青年は浅井を睨んだ。浅井はおお怖イ怖いとおどけ、 「そウだ、あんたの契約者を返すゼ」 操られている女から少女を取り上げ、放り投げた。 青年はなにやら自分に対する扱いについて物を申しながら飛んでくる少女を受け止め、 「確かに……」 浅井を睨んだまま、腕の中で顔を赤くしている少女に気付くことなく安堵したように受領の言葉を述べた。浅井は更に、 「そうだ。足を返してやらナきゃいかねえな。――おい、ガキ。とっとと返してやレ」 そうさっちゃんへ命令した。「え?」と振り向くさっちゃんに浅井はまた告げる。 「聞こえなかったのか? 早く足を返さねえか、ガキ」 「う、うん……」 浅井の言葉に強烈な違和感を覚えながら、さっちゃんは少女へと奪った両足を戻す。 足は当然あるべき姿を取り戻すように何の抵抗も無く少女へとくっつき、 「おお、戻った!」 「本当に……よかった」 地面へと立って足の具合を確認している少女とその様子を見てほっと息をついている夢子を見て浅井はにこやかに言った。 「そうかそうかソいツはよかっタな」 「あっさり返すとは意外だな」 不審感を隠そうとしない青年の声、それを聞いた浅井は唐突に身を折り、狂ったように嗤った。 「…………くっククハハは! そリャそうだ! せっかくの食べる生肉が減っちマうのも嫌だしなァ! それにこの女ノ案内に任せりゃそこの≪夢の国≫ミてェな上等な上に食っても減ルことのねェ都市伝説の肉ガ食えんだからよォ!」 まるで正体でも現すかのように盛大に、凶悪に嗤いだした浅井に、ギョッとして少女が問いかける。 「おっちゃん! どうしたんだよ? さっきの≪組織≫の連中と戦ってからなんかおかしいぜ!?」 「契約者、下がれ」 青年が少女の前に出て有無を言わさぬ口調で言うのへ少女が抗弁する。 「Tさん、このおっちゃん本当はそんな悪い奴じゃ」 青年は、 「知っている、さっちゃんに聞いた」 答え、 「だが、コレはあの男ではない」 そう浅井を指さし告げた。 「――え?」 「どーいうことなの?」 言葉の意味が分からず疑問を呈する少女とリカちゃん。一方で夢子は哀しげな顔で「やはり、そうですか」と呟き、黒服が浅井の様子と先程あった連絡を重ねて思慮し、結論を口にした。 「……おそらく、彼は契約した都市伝説に取り込まれています」 「そうだな? 都市伝説」 青年が質し、 「アあ? 気づいテたのか?」 浅井がやはりどこか違和感を感じるひび割れたような声で興が削がれたように答えた。青年は浅井に――それを飲みこんだ都市伝説へと、応えるように浅井の事を口にする。 「あの男、元々復讐が成功しようとしなかろうと、もう普通には生きられないことを悟っていた」 さっちゃんを頼むと言ってきた男の真意を慮って言う青年は浅井の身体を乗っ取るモノへと誰何の声を上げる。 「お前は、〝どれ〟だ?」 答えは、再び上がった盛大な笑い声によってなされた。 「フ、は、ハハハはははハはは! 〝どれ〟か! そうだなぁ! 俺はコイツの中の都市伝説、その全テよォ!」 〝それ〟は語る。 「元々コイツには複数の都市伝説と契約するほど俺たチへの適応力なんザなかったんだよ! それを契約させテいたのが心の根本にあった復讐心ってヤつだァな。それがいざ復讐の対象に会って一度やリあったら復讐の意志が薄れやがった」 全く情けなイ。と首を振り、 「当然、そんな状態なコイツにいつまデも従ってやることもねえ」 だから飲みこんでやったと〝それ〟は言う。 「おとー……さん?」 豹変した浅井の姿をしたものへと呆然と声をかけるさっちゃん。〝それ〟はそちらを振り返り、再び命令した。 「ソうだ、おいガキ、俺と来い。お前の歌は餌を調達すルのに使えるからな」 その言葉はさっちゃんを道具として見るものであり、〝それ〟が浅井では、彼女のおとーさんではありえないことをさっちゃんへと理解させるには十分な言葉であった。だから、 「……」 「なンだ? その目は」 無言で〝それ〟を睨みつけた彼女は要求した。 「おとーさんを、返して」 大事な家族の返却を要求する言葉に、〝それ〟は肩をすくめて首を振り、 「何を言うノかと思えバ……やなこった」 答えるのも阿呆らしいとでも言いたげに告げた。さちゃんはそんな〝それ〟を見て、「じゃあ」と歌を朗じ始めた。 「さっちゃんはね、バナナが大好き――」 聴かせた相手を病へと陥れる呪歌はしかし、 「――あれ? 歌が……」 さっちゃんの疑問の声と共に中断された。その様子を見て〝それ〟は笑みに口の端を歪める。〝それ〟は時折ふらつきながら浅井を見据えている夢子を指さしながら、 「そこの特上肉にかけタ歌を解除されるわケにはいかねえし、俺は食らいたくはネえしナァ」 次に自らの体を指さす。 「まあ、この身体――契約者も本望だロうよ? ≪夢の国≫に娘を食った奴ヲ食い返しテやるんだからヨぉっ!」 そう言って夢子の方に向かって一歩を踏み出した。 「させるかよ」 言って、少女が立ちふさがろうとする。その肩を掴んで夢子が言った。 「どいて、ください」 「どけるか馬鹿。今の夢子ちゃんじゃあ危なっかしくて見てらんねぇ!」 少女が言い、それに何か夢子が反論しようとするが、その言葉が発されるよりも先に二人の前に立つ影があった。 「それはお前も同じだ、契約者」 そう言ってリカちゃんを少女の頭にぽんと乗せ、青年は〝それ〟に手を翳した。 「止めるノか? Tサん?」 契約者は返してヤったのニ。と〝それ〟が不満交じりに言う。 「止めるさ。暴走するのはその男の本意ではないだろうしな」 青年は当然のように答え、 「そウかい」 〝それ〟が言ったのと同時、乗っ取られた浅井の身体に異変が起きた。その胸元から青白い光と赤い燐光が強烈な光量をもって溢れだし、彼のスーツが、髪が、靴が、そして腕が、足が、首が――見渡せる範囲全てが人のそれからかけ離れた姿へと変異していく。 「なんだよこれ!?」 少女が叫び、 「都市伝説ですか?」 黒服が確認する。異形となっていく〝それ〟は己の身体の具合を確かめるように眺めまわしながら、 「≪放射能による突然変異≫ダ。立派なもんだロ?」 自身の事を自慢するように語った。 ≪放射能による突然変異≫、放射能は照射された物の細胞などを突然変異させるという都市伝説。 しかし、それを発動させるにはあるモノが必要だ。 「でも、放射能なんてどこにあんだよ?」 「そのネックレス」 青年が顎で示す先、異形の首から下がる赤い燐光を発する≪ホープダイヤ≫と共に揺れているもう一つのネックレス。青白く光っているそれは―― 「≪死を招くネックレス≫だ」 贈り物として贈られたネックレス、それを身に着けていた人間は変死を遂げる。原因はネックレスだった。その青白い石は宝石などではなく、ウランの結晶だったのだ。そういう都市伝説。 浅井が契約したそれは青白い石からウランのように放射能を発することができるようにするというもの、そしてそれは彼が契約している≪放射能による突然変異≫を場所を選ばず、更にネックレスが与える加護により対放射能性をも身につけて発動させることを可能とした。その結果が、 「その外殻と異常な膂力を引き起こす体内、そして同じく契約していた都市伝説であるさっちゃんの、二番目の歌の変異だろう。 防護が砕かれたのはそれらで陣の間を縫うように変異した呪いが原因だな」 青年が能力を見極める間にも〝それ〟の変異は進んでいき、木が無理やり倒されるようなメキメキという異音が浅井の身体の内部から響く。 「やめて! それ以上は……!」 身体の内部を変異させる異音にさっちゃんが悲鳴交じりに制止の言葉をかけつつ駆けだし、 「行ってはいけません! 彼はもう、あなたのおとーさんではありません」 今〝それ〟に近づいたら何をされるかわからない。さっちゃんが駆け寄ろうとするのを黒服が必死に止めた。 その間に完成した外殻を纏った異形の怪物は立ち上がり、そして言う。 「メシの時間だナ」 外殻に覆われた顔の奥から笑い声が轟いた。 「これは……」 呻くように黒服。 〝それ〟はまさしく異形の姿をしていた。その身は己が着ていたスーツ以外にもその場にあったあらゆるものを取り込んでより強固になった外殻に覆われ、人型の竜のような姿になっており、胸元からは厚い外殻を通しても尚、青白い光と赤い燐光がその異常な光を強く強く瞬かせているのが確認できる。 ――と、 「お兄ちゃんお姉ちゃん! 人が来るの!」 リカちゃんの注意を促す声が響き、 「こんな時にかよ!?」 少女が頭上からのその声に周囲を見回すと、 「げ、なんだよこりゃ!?」 ≪ホープダイヤ≫に操られているのか虚ろな目をした人々が公園内に殺到していた。 「都市伝説相手にはヤっぱり効かねえカ」 異形の呟きがあり、 「――まァいい、マズはそっちのヤつからとっ捕まえロ」 その命令の下、操られた人々が一斉に彼らへと突進した。しかもその数は、 「どんどん増えてやがる!?」 「あのひかりすごいつよいの!」 その言葉通り、周囲からはどんどん人が集まりだしていた。マンションの中からも次々人が出て来て少女たちを囲む輪の中へと合流している。 「これ以上≪ホープダイヤ≫に魅了される人間が増える前にどうにかしなくては」 黒服が懐から≪パワーストーン≫を取り出しながら言う。 「私が、やります」 夢子が支えられ、咳き込みながら、 「皆、お願い……っ!」 荒い呼吸のままに言葉を放ち、夢子たちを囲み人々から壁になるように黒いパレードが呼び出され――夢子は血を吐き倒れた。 「う……そ?」 その夢子の様子に驚いたのは他でもない、さっちゃんだ。 自身の力を増強していた物の内の一つを砕いたために大きな力を発してはいてもあくまで死ぬ寸前程度の効果しかなかったはずの能力がいきなりその殺傷力を強めたことにさっちゃんは驚き、王様が狂わないように己の能力を緩めようとして、 「二番が……? 二番がさっちゃんのそうさを受けてくれないよ!?」 突然の不測の事態に動転気味の声を上げた。 異形が笑みを含んだ口調で言う。 「≪ホープダイヤ≫が効かねえんならやっぱり都市伝説を食うのにはそのガキがいる方ガ便利ダなぁ!」 そして、跳んだ。 外殻を纏っていても尚パレードを飛び越える程の高い跳躍だ。そうしてさっちゃんの前に降り立った異形はその拳を振り上げ、 「二番は契約にヨって得タ能力だ。契約者ノ身体を乗っ取っている今、お前よりモ俺の方がそノ力の支配権を持ってるんダよ」 愉快そうに言い、 「ちょっと逃げられないようにしとこうかァ!!」 腕が振り下ろされた。 「嬢ちゃん! 逃げろ!」 少女の注意が飛ぶが、異形が発する慣れ親しんだ声から唐突に振るわれた拳にさっちゃんは思わず「ぁ」とどこか気の抜けた声を出し、動けない。異形の手はその無防備な頭へと迫る。 「っ!」 そこへ夢子が病の身体を無理に転移し、さっちゃんを抱き寄せた。 同時に夢子を蝕む正体不明の病が彼女の意識を揺さぶり、続く転移を阻害。夢子は地に倒れるように伏せることしかできない。 間近で振るわれる異形の拳を見て、夢子は初めに襲ってきた時に浅井が外殻を纏わなかったのはそれがあると重みの分拳を止めることが難しくなるからだと理解した。 浅井さんを乗っ取った都市伝説は私に会って彼の復讐心が揺らいだと言いました……。 あの時の拳はこちらを試すための拳だったのだ。夢子が避けていたらおそらくその拳はゲストの誰かに当たる前に止められたのだろう。しかし、今目の前のこの異形は間違いなく夢子ごと周囲の人々を殴り飛ばす。人外、異形へと変異した膂力だ。殴られたらただではすまない。 ふらつく視界で相手を見据える。あの時身を守ってくれたターコイズも今は無い。 しかし、 「待て」 腹に響くような音を立て、異形の拳が止められていた。それを果たしたのは体の各部位を淡く発光させた青年だ。青年は衝撃に対して険しい顔をし、 「≪夢の国≫を展開しろ!」 夢子へと声をかける。 「は、はい」 「コノ状態の拳も止めルのか……なんだか初めに会った時ミてェになったナ」 異形の感心したような言葉を無視して青年は異形を睨み据え、敵対の言葉を告げた。 「俺が病の夢子ちゃんに代わって相手をしよう。もともと王の頼みは≪夢の国≫を再び歪むるに至る呪いの元を止めること。そしてその呪いの元凶はさっちゃんではなく、お前だ」 「それデ俺を倒スってカ? ハハハ無理だな、そんな華奢な体じゃア無理ダ! 敵にナるんならお前ハ俺ノ餌、上等な肉でしかなクなっチまうヨ!」 楽しそうな異形の声がする。異形が再び拳を再び振り上げたその時、周囲、空間が侵食された。 足元の砂の地面がカラフルな石畳になり、周囲の遊具が消え失せアトラクションが立ち並び、乏しかった街灯がきらびやかなイルミネーション群にとって代わる。マンションや民家は全て異国の建物へとさし代わり、≪ホープダイヤ≫で操られていた人々の相手を捕まえ、櫓へと放りこんでいた≪夢の国≫の住人達とそれらが牽引するパレードが違和感なくその風景へと溶け込んだ。 そこはまさしく異国、≪夢の国≫内部だ。 「流石に速いな」 「い、え……こんなことしかできま、せんから……」 そう言って身を傾がせながら立つ夢子を青年の契約者の少女と≪夢の国≫の住人が支えた。 「ですが、これで新たに≪ホープダイヤ≫の効果に晒される人はいなくなりました」 呆然とするさっちゃんを抱き起こした黒服に頷き、青年は異形を睨み据えた。 祈る。 「お前を破壊できたら――幸せだ」 その幸せは直接的には叶わない。幸せに至るための可能性を≪ケサランパサラン≫の果たせる範囲において与えるだけだ。それは白い光の形で青年の身体へと現れる。そうして青年の戦闘準備が整えられていき―― ≪夢の国≫内部に強い強い戦いの気配が満ちていった。 前ページ次ページ連載 - Tさん
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. 日常とは、常に非日常の犠牲の上に成り立っている Red Cape 4月も半ば過ぎ、新入生達が、まだまだ新しい学校に馴染もうとしていくこの時期 彼、直斗は放課後の今もまだ、校舎に残っていた 人気のない校舎の中を、ゆっくりと、まるで、何かを探すように歩きまわる かつん、かつん、と足音を響かせながら歩く様子は、普段のおどけた様子の彼とは、違って……… 「あれ、なおっち。まだ帰ってなかったっす?」 と、声をかけられ、直斗はぴたり、と足を止めた いつもの戯けた表情に戻ると、くるり、と振り返る そこにいたのは、クラスメイトの憐だ 「や、憐。憐もまだ帰ってなかったんだな」 「俺っちはー、部活決まったから、そっちの用事もあったっす。けど、なおっちは?」 「龍哉も、部活決まったみたいでそっちの用事があるっていうから、それ終わるまで、時間つぶしだ」 いつものおどけた拍子で笑いながら答えると、なるほどー、と憐は笑った 直斗とはまた違う、へらりとした笑顔を浮かべたまま 「それで、本当の理由は?」 と、首を傾げてきた 見ぬかれている、と感じ、直斗は苦笑する 「半分は本当。もう半分は、まぁ、見回りかな」 見回り、と言う言葉に。憐が心配そうな表情を浮かべた そう言う表情をされるだろうな、とはわかっていたのだが。実際にその表情を見ると、申し訳なくと同時、劣等感のようなものを覚えた 「……危ないから、なおっちは、あんまそういう事しないでいいっすよ?」 「ま、そうだけどさ。怪しいもん見たら、すぐに誰かしらに伝えて、俺は逃げるから。そんな心配しなくて大丈夫だって」 でも、と、憐は不安げな表情を消さない ……わかりきっていた事なのだ 自分は、小学校から………いや、それ以前からの付き合いのグループの中で、「自分だけ」が、周囲とは違う だから、自分はこんなにも心配されているのだと、直斗は理解していた 自分だけが違うが故に………ずっと共に親しく付き合ってきた仲でありながらも、ほんの僅か、壁が存在している事を理解していた (………………俺だって) 自分だって その気になれば、皆とは違うとは言え、皆と同じように、出来るのに ………その事実を知られていないが故、心配されてばかりで、皆と同じような事をしようとしても、周りはなかなか許さない 仕方ないのだ、とも思っている だから、そのことで皆を恨むなどと言う、見当違いの事をするつもりはないが …………………それでも 「…?なおっち、どうか、したっす?」 と、憐が首をかしげてきて、直斗は思考を引き戻した 考えても仕方ない事を考えこむものではない ……自分、らしくない 「いんや、なんでもない………見回りは、もうちょいするつもりだからさ。心配してくれるんなら、一緒について来てくれるか?」 「へ?……まぁ、いいっすよ。戦闘向きではないっすけど、全然できない訳じゃないんで」 直斗の言葉に、憐はへらり、と笑って了承してきた 巻き込んで悪いな、と思いつつも、こうした方が憐を心配させずにすむのだから、仕方ない 足音が、二人分になる かつん、かつん、と、二人分の足音が、夕暮れの校舎の中に響く かつん、かつん、かつん、かつん、かつん、かきん ぴたり、と、二人はほぼ同時に、歩みを止めた かきん、かきん、かきん 何か、金属同士がぶつかり合う音 音の発信源は………家庭科室 憐に視線を向けると、こくり、と、小さく頷いてきた 「家庭科室で、出る可能性があるのはー………」 「「家庭科室の包丁」辺りか。飛び回ってるだけだから、ほっといてもいいっちゃいいが………」 「んー、でも、都市伝説を知らない人が、その現象に巻き込まれたら危ないっす。出来りゃあ、なんとかしたいっすけど」 かきん、かきん、かきん、と聞こえてくる音を聞きながら、直斗は考えこむ 「家庭科室の包丁」は、「放課後に無人の家庭科室で包丁が飛び回る」と言う都市伝説だ ある意味、「本体が存在しない」都市伝説である 契約者が存在するならば、それを叩けばいいだけの話であるが、都市伝説単体、となると、少々対応が難しい まさか、家庭科室の包丁を破壊する訳にもいかないだろう。付喪神系ならそれで対処出来るかもしれないが、この都市伝説はそういった類ではないのだから 「一応、様子だけでも確認するか?」 「聞こえてくる音的に、包丁同士がチャンバラしてる予感っすから、覗くだけでちょっと危ない気が………先生に、報告した方が」 と、憐の言葉が終わるよりも、前に ばりぃんっ!!と、ガラスが割れる音が響き渡った 思わずそちらに視線を向けると、家庭科室の扉の窓が割れていて…………ふわり、と。包丁が、宙に浮いていた 一振りではなく、いくつもの包丁が家庭科室から割れた窓を通って廊下へと飛び出してきていて 「………あっれ。あの都市伝説って、家庭科室から出て飛び回るもんだったっけか?」 「違うと思うっすー………あれ、まさか契約者、あり………?」 都市伝説が、本来の伝承とは異なる行動パターンを見せた場合………それも、このような概念系都市伝説がそのようなパターンを見せた場合、高確率で契約者が存在する ならば、その契約者は、どこにいるのか 契約者さえ見つけてなんとかすれば…………この飛び回る包丁を、何とかする事は、できる 直斗はとっさに、契約者を探そうと家庭科室の中を覗きこもうとしたのだが 「危ないっ!」 ぐっ、と憐に腕を引かれる。直後、直斗の目の前を包丁がひゅんっ、と通り過ぎた 飛び回る包丁は、確実に直斗と憐を狙ってきている 「っち。さっさと家庭科室入って、契約者見つけるべきだったか」 「そうみたいっすねー………ちょっち、判断ミスっす、まずは、この包丁どうにかしねーと………」 す、と、憐が直斗を庇うような位置に立った その様子に、直斗はほんの少し悔しげな表情を浮かべる あぁ、ほら 結局、また、守られる 自分は、本当なら「守る」立場に、なりたいというのに 「………憐、誰か呼んでくる。それまで、時間稼げるか?」 ここに、憐を一人置いていく、と言う選択肢 本当ならばとりたくない手段だが、自分がここで足手まといになるよりはマシだ 憐は戦闘能力を全く持たない訳ではない………の、だが。契約都市伝説の能力で戦うとなると負担が大きいし、万が一としての「予備の都市伝説」を持ってはいるが………肝心のそれが、今、手元にはない 自分がここにいる事で、憐が自身を庇おうとするだろう事はわかりきっているのなら、憐が傷つく可能性を少しでも減らす行動を取るべきなのだ 直斗のその判断は、間違ってはいなかった ただ、直斗が動くよりも、早く、更に家庭科室の窓ガラスが割れて………ひゅんっ、と、新たな包丁が姿を現し、二人を挟み撃ちにする体勢をとってきた為、それは不可能となってしまった 小さく舌打ちし、直斗は憐と背中合わせに立つ 「…俺っちが、なんとか道、開けるんで。そこを通って行ってほしいっす」 「できりゃあ、憐に怪我させたくないんだが………」 ひゅんひゅん、と包丁が飛び回る 二人が覚悟を決めるとほぼ同時、包丁は一斉に、二人に襲いかかってきて 甲高い金属音と、低い激突音が、廊下に響き渡った 「………っ!」 「ぁ………」 包丁は、二人には届いていない 「我が親友(とも)を傷つける事は、許しません」 直斗の前に、その手に刀を手にした龍哉が立ち 「………俺の親友(ダチ)を、傷つけようとするんじゃねぇ!!」 普段は翡翠色のその目を、爛々と金色に輝かせた遥が憐の前に立っていた 直斗と憐に襲いかかった包丁を、龍哉と遥の二人が、それぞれたたき落としたのだ 龍哉は刀を手にしているから、それで叩き落としたのだろう ただ、遥は素手である。その拳で飛び回る包丁を叩き落としたのならば、その拳は血にまみれているはずなのだが、傷ひとつついていない その理由を、直斗も、憐も。当然、龍哉も遥も理解している 昔から、よくつるんでいたこの仲間内の中で、誰が何と契約しているのか、どんな能力なのか………自分達は皆、しっかりと理解しているのだから 「契約者はっ!?」 「推定、その家庭科室の中!」 家庭科準備室からも、出た気配はない そして、ここは2階だ。窓から脱出するにも時間はかかる いるとしたら、まだ、家庭科室の中だろう 直斗の言葉に呼応し、龍哉と遥はそれぞれ、家庭科室の左右の扉から家庭科室の中へと飛び込んでいった ………家庭科室から、何やら悲鳴が聞こえてきた 勝負は、さほど時間がかかる事なくつくだろう、直斗も憐も、そう確信していた あの二人を相手にすると言うのなら、よほどの者でなければ、引き分けにすら持ち込めまい 「…りゅうっちとはるっちが来てくれて、良かったっす」 ほっとした表情を浮かべる憐に、そうだな、と直斗は頷いてみせた ……おかげで、憐が怪我をせずに、すんだ 「じゃあ、俺、荒神先生に伝えてくるよ」 「あ、う、うん、お願いっす。俺っちは、一応、怪我人出た時に備えて、ここに残ってるっすから」 直斗の言葉に、憐はこくり、と頷いてきた …まぁ、怪我人は出るだろう、間違いなく。「家庭科室の包丁」の契約者が十中八九怪我をする。多分、殺さないとは思う 怪我人が、出なかったとしても。憐としては伯父と授業以外で顔を合わせるのは、なんとなく気まずいのかもしれない ………ならば、自分が、報告の役目を担うべきだ。直斗は、そう考えた せめて、そう言う方面で、役に立てるように (…ま、一人で遭遇してたら、俺が全部片付けたんだけど) 報告の必要もない状態に、していたのだけど まぁいいか、とそう考えて 直斗は一人、戦闘の音を背後に聞きながら職員室へと向かう その、途中に 「…………」 三階へと向かうクラスメイトの姿を見かけて その後ろをついていく存在に、気づいて (……あぁ、あっちを片付けるのが先か) と、そう考えて、進路を変更したのだった 非日常を知らぬ者が非日常に気づく必要はない 気づいてしまえば、その瞬間から 非日常と言う犠牲の中へと、足を踏み入れるのだから Red Cape 前ページ次ページ連載 - 次世代の子供達